債権回収
「仕事をしたのにお金を払ってくれない」
会社を経営していれば、一度は遭遇するであろうトラブルです。
支払ってもらわなければならないお金を支払ってもらう、というのは、非常にシンプルな話ですが、いざ相手方が支払わないとなると、回収のために様々な検討を要します。
回収方針の検討
まず、回収方針を決めないといけません。
裁判手続をとるのかとらないのか、裁判外で回収するとして、弁護士を立てるか立てないか等を、相手方の支払意思と支払能力を踏まえて検討する必要があります。
「払う意思はあるのだけれど、ここ2,3ヶ月の資金繰りが苦しい」ということであれば、敢えて弁護士は代理人として関与せず、1か月の支払額を少し下げた形での合意書を交わすことが最善かもしれません。他方、同じような「2,3ヶ月待ってくれ」でも、支払い能力や支払意思が疑わしい場合は、弁護士から内容証明郵便を心理的なプレッシャーを与えたり、予め担保設定したりすることが有効な場合もあります。
また、支払意思がない場合は、裁判手続を検討する必要があります。裁判手続をとる場合には、こちらの請求権の立証ができるか、債権が時効にかかっていないか、勝訴したとして、差押可能な財産はあるか、などを調査・検討し、裁判することが自社にとって本当に有益か否かを検討しなければなりません。
保全手続の必要性
債権回収において検討すべき重要事項の一つに、「仮差押」「仮処分」などの「保全手続」があります。
一般的に訴訟は時間がかかりますので、訴訟している間に、相手方が自身の財産を他者へ譲渡したり、隠匿したりする恐れがあります。そうした場合、仮に勝訴判決を得たとしても、判決に基づく強制執行ができず、結局、訴訟をした意味がなかったという事態となってしまいます。このような事態を防ぐために、訴訟の前に、相手方の財産を保全しておく(他に移動させたり、隠したりできない状態にする)ことは非常に有効です。
また、保全処分の多くは、相手方に知られることなく、いきなり裁判所の命令が発令されますので、相手方に与えるインパクトが大きいです。
相手方が、自身の財産について仮差押命令が発令されたことを重く見て、本案訴訟(=保全処分後の訴訟)をする前に、任意に支払いに応じるということもしばしばあることです。
どこまでやるか、の検討
債権回収を現実的に考える際、残念ながら「事実上、回収は不可能」と判断せざるを得ない場合もあります。その最たる例は、相手方が既に破産手続に入っていて、破産手続の中で、相手方の財産がない、もしくはほとんどないとされているときです。
よって、事案によっては、費用をかけて弁護士に依頼しない方がよい場合もあります。費用倒れに終わる可能性が高いのも債権回収分野の特徴であり、現実であることも、経営者の皆様はしっかりと認識する必要があります。
こんな方におすすめ
以上のように、債権回収は様々な角度から事案を検討して、回収方針、保全手続等を決定しなければならず、弁護士による法的アドバイスな分野です。
以下のような方におすすめです。
- 取引の相手方がお金を支払わないが、どのようにアプローチしたらいいかわからない
- 相手方が難癖をつけて支払いを拒否しているので、法的手続をとりたい
- 相手方は経営が苦しそうであるが、無担保の不動産があるので、同不動産を保全したい。
- そもそも、弁護士に頼んだ方がいいか否かわからない。
- 自分で内容証明郵便を出してみたいが、書き方がわからない。
私は、数千万円から数十万円まで、幅広い債権回収の経験を有しております。また、その関与の仕方も、訴訟の代理人から、書面作成、継続相談での間接的なサポートなど、様々です。
お客さんからお金を支払ってもらえない方は、ひとまずご相談頂き、どのような手続をとるのがよいか、訴訟になったときの見通し、そもそも弁護士に依頼するのが良いか否か等をアドバイスさせて頂ければと思います。